骨による食欲調節
2017/04/05
骨は骨芽細胞からBMPやオステオカルシン等のホルモンを分泌し、生体の形成、健康維持・増進の役割を果たしている重要な臓器である。この事は従来から我々が明らかにしているが、更にMosialouら(コロンビア大)によって腎機能やグルコースの恒常性を調節するホルモンを分泌している事が明らかにされた(I.Mosialou, et al., MC4R-dependent suppression of appetite by bone-derived lipocalin 2. Nat,543,385-390,2017.)。今回S.Kousteni らは骨芽細胞から分泌されるリポカリン2(LCN2)がインスリン分泌を誘導し、耐糖能とインスリン感受性を向上する事で、グルコース恒常性を維持している。更にLCN2は視床下部のメラノコルチン4レセプター(MC4R)に結合し、MC4R依存的な食欲抑制経路を活性化して食欲を抑制している。LCN2は骨由来代謝調節ホルモンであると結論した。