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谷 久典

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Disbiosisの改善に向けて

2024/09/26

前回で善玉菌特にBifidobacterium属、乳酸菌(Lactic acid bacteria)、及びAkkermansia菌を特異的に増やし、腸内の占有率を上げることで、腸内フローラ構成菌の乱れ(dysbiosis)を改善し健康に資する物質を見出した事を記しました。この物質はバターミルク中に含まれている乳脂肪球被膜由来ヘパラン硫酸であります。

牛乳中の脂肪は乳脂肪球皮膜(MFGM)に覆われて牛乳中に存在しています。このMFGMは乳腺上皮細胞の細胞膜由来の膜である事が泌乳の生理学から判明しています。MFGMは一般的に糖タンパク質(ミルクムチン)、トリグリセライドやリン脂質(スフィンゴリン脂質)、グリセロリン脂質(ホスファチジルコリン)などが含有されています。また、近年の研究によりヘパラン硫酸のようなムコ多糖が含まれている事もわかってきました。乳腺上皮細胞由来と言うことを考えると今後ますますマイナー成分が検出されると考えられます。

さて、バターミルクは乳から分離したクリーム(脂肪分)からバターを造る時に残った液体の部分で必然的に様々な有用成分が含まれています。我々はバターミルクにヒアルロン酸、ヘパラン硫酸、及びコンドロイチン硫酸Aなどのグルコサミノグリカン(GAG)が含まれることを明らかにしました。そこで、バターミルクよりタンパク質を除去した粗抽出粉末を動物に摂取させることで腸内フローラの改善効果を試みました。本抽出物を摂取することで乳酸菌やビフィズス菌の占有率が上昇し、大腸菌群のそれは減少しました。即ちdysbiosisの改善に効果が認められました。今回用いた動物は担ガン状態のマウスでしたが、同時に自然免疫の賦活化も確認されました。このバターミルク摂取によるdysbiosis 改善効果は新規性が認められ特許取得*となりました。また、弊社はこれらの結果からdysbiosis改善効果を目的とした商品「ABL」を開発致しました。

 

*:特許第7554462号(発明の名称:腸内フローラ改善剤)