ヒトの腸内フローラはヒトに対して善玉菌、悪玉菌、及び日和見菌に分類されています。腸内細菌の全体の2割を占めている善玉菌と呼ばれるものにはビフィズス菌に代表されるビフィドバクテリウム属(Bifidobacterium)や、乳酸桿菌と呼ばれるラクトバシラス属(Lactobacillus)があげられます。また、腸内細菌の1割を占めている悪玉菌にはウエルシュ菌に代表されるクロストリジウム属(Clostridium)や病原性大腸菌等があげられます。残りの7割の日和見菌には非病原性大腸菌やバクテロイデス属(Bacteroides)などがあげられますがその大半は未知なるものです。
善玉菌は宿主であるヒトに対して有益な効果を示す一方、悪玉菌は様々な疾病にも関与していることが明らかとなってきました。現代人の食生活はとかく腸内フローラ構成菌の乱れ(dysbiosis)に向かいがちです。Dysbiosisを改善し健康な腸内フローラを維持するためには如何にして善玉菌を増やしていくかが重要です。
近年特に注目されている善玉菌の一つにアッカーマンシア・ムシニフィラ(Akkermansia muciniphila)に代表されるアッカーマンシア属(Akkermansia)があります。Akkermansia muciniphilaはヒトの腸内にも存在しており肥満や2型糖尿病に対抗するために利用できる可能性が見出され、やせ菌として注目されています。
我々は善玉菌であるBifidobacterium属、乳酸菌(Lactic acid bacteria)、及びAkkermansia菌を特異的に増やし、腸内の占有率を上げることで、dysbiosisを改善し健康な腸内フローラを作り出す物質を見出しました。
(つづく)