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谷 久典

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フコイダンの腸炎炎症抑制メカニズムが明らかに?!

2016/07/13

フコイダンが初めて論文に掲載されて約100年が経過している。その間、国内外に於いて数百報の論文が発表されており、その数は増え続けている。我々も様々なフコイダンの機能に付いて研究を行い、学会発表等を行ってきた。その中の一つに日本農芸化学会2005年度(平成17年度)大会に於いて発表した「トンガ王国産天然もずく由来フコイダンのデキストラン硫酸(DDS)惹起大腸炎に対する効果」がある(日本農芸化学会2005年度(平成17年度)大会講演要旨集、p107(2005))。

これはフコイダンを摂取する事で大腸疾患の改善作用が認めれらた事からデキストラン硫酸(DDS)誘導マウス腸炎モデル1を用いて検討したものである。モデルマウスにフコイダンを経口自由摂取させたところ大腸炎が有意に改善していた。また、脾臓中のリンパ球の割合を測定したところフコイダンを摂取する事でCD4+TCRβ+細胞2の割合が減少し、CD8+TCRβ+細胞3の割合が増加していた。これらの結果からフコイダンは粘膜中の免疫担当細胞の過剰免疫反応(炎症反応)を抑制する事でDDS惹起大腸炎を改善できる事を示したものであった。

このフコイダンの炎症抑制メカニズムに付いては不明であったが、2015年7月21日付けNature Communicationsのオンライン版にそのヒントが掲載された(Asano, K., ら; Intestinal CD169+ macrophages initiate mucosal inflammation by secretion CCL8 that recruits inflammatory monocytes: Nature Communications, 6: 7802, Doi: 10.1038 (2015))。

浅野らはその中で腸炎を引き起こす特定のマクロファージ亜集団4を発見し、その働きを抑制する事で腸炎の発症を制御できる事を明らかにしました。

即ち、消化管粘膜のCX3CR1注5発現マクロファージの中でも、CD169注6を同時に発現する特定のマクロファージ亜集団に着目し、このマクロファージ亜集団を消失させる事で腸炎症状が改善される事を見いだし、この亜集団が腸炎を引き起こしていることを明らかにしました。さらに、この亜集団が可溶性たんぱく質(サイトカイン7)の一種であるCCL8注8を産生する事を見出し、その作用を抑制する事でマウスの腸炎モデルの症状が改善された事から、CCL8が腸炎の原因物質の一つであることを明らかにしました。

フコイダンに付いては腸炎モデルマウスの炎症症状が改善した事を明らかにしたことからこれらのメカニズムのより症状が改善したと考えられます。

高次機能性フコイダンには炎症性マクロファージの活性を抑制する作用があり、浅野らの報告に見られたメカニズムによってフコイダンの腸炎改善作用が認められたと考えられます。

毎日のフコイダン摂取を心掛けましょう。

 

注1)デキストラン硫酸(DDS)誘導マウス腸炎モデル

デキストラン硫酸は分子量が5,000から50,000の高分子化合物で、実験動物の飲料水中に溶かして投与すると、直接上皮粘膜を傷害し、腸内細菌の粘膜への侵入を誘導すると考えられている。リンパ球を欠損したマウスでもDDS投与で腸炎が誘導される事から自然免疫に依存した腸管の炎症モデルとし広く利用されている。

 

注2)CD4+TCRβ+細胞

CD4は免疫系細胞の細胞表面に発現している細胞表面抗原の一つである。TCRはT cell receptorの略でT細胞受容体の事である。大多数のT細胞のTCRはα鎖とβ鎖で構成されている。T細胞の中でこの両者を発現している細胞をヘルパーT細胞と呼ばれており、主な役割とし他の免疫系細胞にシグナルを送る事である。

 

注3)CD8+TCRβ+細胞

CD8はT細胞免疫系細胞の細胞表面に発現している細胞表面抗原の一つである。TCRと共発現する免疫細胞は、以前はサプレッサーT細胞と言われていたが現在ではキラーT細胞や細胞傷害性T細胞といわれている。

 

注4)マクロファージ亜集団

マクロファージは大食細胞とも呼ばれ、細胞・異物・死んだ細胞等を取り込み分解処理する。消化管に常在するマクロファージのマーカー(細胞表面上に発現している分子)としてCX3CR1が知られている。

 

注5)CX3CR1

ケモカイン(注8参照)であるCX3CL1の受容体で、消化管の常在性マクロファージに発現している。

 

注6)CD169

CD169分子はシアル酸結合たんぱく質として同定され、脾臓・リンパ節などのマクロファージの一部に発現していることが知られている。

 

注7)サイトカイン

細胞から放出され、細胞同士の情報伝達物質となる可溶性たんぱく質で、細胞表面の受容体に結合し、様々な生理活性を発現する。

 

注8)CCL8

サイトカインのうち免疫細胞に対する遊走活性を持つものを特にケモカインと呼び区別している。CCL8はケモカインの一種である。